前に戻る エステル書 🔝

 

〘901㌻〙

第1章

1 アハシユエロスすなはち印度いんどよりエテオピヤまでひやく二十七しうをさめたるアハシユエロスの 2 アハシユエロスわうシユシヤンの城󠄃しろにてそのくにくらゐしをりける當時ころ 3 その治世ぢせいだいねんにその牧伯等つかさたちおよび臣僕しもべのために酒宴しゆえんまうけたり ペルシヤとメデアの武士もののふおよびたふときやからしよしう牧伯等つかさたちその前󠄃まへにありき 4 ときわうその盛󠄃さかんなるくに富有󠄃とみとそのおほいなる威󠄂光ゐくわうさかえしめして衆多おほくをわたりひやく八十にちおよびぬ 5 これらののをはりしときわうまたわうみやその庭󠄄にはにてシユシヤンにだいせうのすべてのたみのために七日なぬかあひだ酒宴しゆえんまうけたり 6 しろみどりあを帳幔とばりありて細布ほそぬの紫色むらさきひもにてぎん環󠄃および蝋石らふせき柱󠄃はしらつながるまた牀榻いすきんぎんにしてあかしろくろ蝋石らふせきうへすゑらる 7 きん酒盃さかづきにてさけたまふその酒盃さかづきこれかれおのおのことなりわうもちゐるさけをたまふことおびただしわう富有󠄃とみ適󠄄かなへり 8 そのむことははふにかなひてたれしふることをわうびととして各々おの〳〵おのれのこのむごとくなさしむべしとその宮內くないのすべての有󠄃司つかさめいじたればなり

9 きさきワシテもまたアハシユエロスわうぞくするわうきううちにて婦󠄃女をんなのために酒宴しゆえんをまうけたり 10 第七日なぬかめにアハシユエロスわうさけのためにこゝろたのしわう前󠄃まへつかふる七にん侍從じじうメホマン、ビスタ、ハルボナ、ビグタ、アバグタ、セタルおよびカルカスにめい 11 きさきワシテをしてきさき冠冕󠄅かんむりをかぶりてわう前󠄃まへきたらしめよといへかれみるうるはしければその美麗󠄃うるはしき民等たみども牧伯等つかさたちしめさんとてなりき 12 しかるにきさきワシテ侍從じじうつたへしわうめいしたがひてきたることをうけがはざりしかばわうおほいにいきどほりて震怒いかりそのうち

13 こゝにおいてわうときしれ智者ちしやにむかひてふ(わうはすべて法律おきて審理さばきあきらかなるものにむかひてかくごとくするをつねとせり
 901㌻ 
14 ときかれ次󠄄つぎにをりしものはペルシヤおよびメデアの七にん牧伯きみカルシナ、セタル、アデマタ、タルシシ、メレス、マルセナ、メムカンなりき これみなわうかほものにしてくに第一だいいちくらゐせり) 15 きさきワシテ、アハシユエロスわう侍從じじうをもてつたへしめいなさざれば法律おきてにしたがひて如何いかかれになすべきや 16 メムカンわう牧伯つかさたちの前󠄃まへこたへてきさきワシテはたゞわうにむかひてあしことをなしたる而已のみならず一切すべて牧伯つかさたちおよびアハシユエロスわうかくしうのもろもろのたみにむかひてもまたこれなせるなり〘696㌻〙 17 きさきのこのことあまねく一切すべて婦󠄃女をんなきこえてかれらつひにそのをつといやしいはん アハシユエロスわうきさきワシテにおのれのまへにきたれとめいじたりしにきたらざりしと 18 しかしてきさきこの所󠄃行しわざきけるペルシヤとメデアのしよ夫人ふじんもまた今日こんにちわうのすべての牧伯等つかさたちかくのごとくいはすればかならず藐視いやしめ忿怒いかりおほ起󠄃おこるべし 19 わうもしこれよしとしたまはばワシテはこののちふたゝびアハシユエロスわう前󠄃まへきたるべからずといふわうめいくだこれをペルシヤとメデアの律法おきてうちかきいれて更󠄃かはることなからしめしかしてそのきさきくらゐかれ勝󠄃まされるほかものあたへたまへ 20 わうくだしたまはん御詔みことのりこのおほいなるくにあまねくきこえわたるときつまたるものことごとくそのをつと大小だいせうとなくともうやまふべしと 21 わう牧伯等つかさたちこのことばよしとしければわうメムカンのことばのごとくなしたり 22 かくてわうしよしうあまねくふみをおくりもろもろのしうにその文󠄃字もじにしたがひてかきおくりもろもろのたみにその言語ことばにしたがひてかきおくりすべ男子をとこたるものはそのいへしゆとなるべくまたおのれのたみことばもちひてものいふべしと諭󠄄さとしぬ

第2章

1 これらのことのちアハシユエロスわう忿怒いかりとけてワシテおよびかれなしたる所󠄃ところまたそのかれにむかひてはかりさだめしところのことおもひおこせり 2 ここにわう前󠄃まへつかふるしもべいひけるは請󠄃うるはしきわか處女等をとめらわうのために尋󠄃たづねもとめん 3 ねがはくはわうくにかくしうにおいて官吏󠄄つかさびとえらこれをしてうるはしき處女をとめをことごとくシユシヤンの城󠄃しろあつめしめ婦󠄃人をんな管理つかさどわう侍從じじうヘガイのにわたして婦󠄃人をんなつぼねらしめしかして潔󠄄淨きよめものをこれにあたへたまへ
 902㌻ 
4 かくしてわうこゝろ適󠄄かな女子をんなごりワシテにかはりてきさきとならしめたまへとわうこのことよしとしてしかなしぬ

5 こゝにシユシヤンの城󠄃しろ一人ひとりのユダヤびとありそのをモルデカイとひキシの曾孫ひこシメイのまごヤイルのにしてベニヤミンびとなり 6 かれはバビロンのわうネブカデネザルがとらへゆきしユダのヱコニヤとともにとらはれ往󠄃ゆけ俘囚とりこなかにありてヱサレムよりうつされたるものなり 7 かれその叔父󠄃をぢむすめハダツサすなはちエステルを養󠄄やしなそだてたり 父󠄃ちゝはゝもなかりければなり この女子をんなごかほかたち勝󠄃すぐれてうるはしかりしがその父󠄃母ちちははしにたるのちモルデカイこれをとりておのれのむすめとなせるなり

8 わう命令おふせ詔言みことのりきこつたはり衆多おほく女子をんなごシユシヤンの城󠄃しろにあつめられてヘガイのにわたされしときエステルもまたわういへたづさへられてゆき婦󠄃人をんな管理つかさどるヘガイの交󠄄わたされしが〘697㌻〙 9 この女子をんなごヘガイのこゝろにかなひてこれめぐみうけたりすなははちヘガイすみやかにこれ潔󠄄淨きよめものおよびその分󠄃ぶんあたへまたわういへうちより七人ひと侍女こしもとあげてこれにつきそはしめかれとその侍女こしもとども婦󠄃人をんなつぼねうちなるもつとところうつしぬ 10 エステルはおのれのたみをもおのれの宗族やからをもあらはさざりきはモルデカイこれをあらはすなかれとかれいひふくめたればなり 11 またモルデカイはエステルの模樣ありさまおよびその如何いかになれるかをしらんため日々ひび婦󠄃人をんなつぼね庭󠄄には前󠄃まへをあゆめり

12 女子をんなごはおのおの婦󠄃人をんなのりにしたがひて十二ヶ月󠄃げつしかるのち順番じゆんばんにいりてアハシユエロスわうにいたるこれその潔󠄄淨きよめ終󠄃をはるはかくのごとくなるがゆゑなり すなは沒藥もつやくあぶらもちふること六ヶ月󠄃げつまた各種さまざま薰物かほりものおよび婦󠄃人をんな潔󠄄淨きよめごとにあつるものなどもちふること六ヶ月󠄃げつ 13 女子をんなごわうにいたるはかくのごとしその婦󠄃人をんなつぼねよりいでわういへにゆくときにはすべてその望󠄇のぞものをことごとくあたへらる
 903㌻ 
14 しかしてゆふべ往󠄃朝󠄃あしたにおよびて婦󠄃人をんなだい二のつぼね還󠄃かへ妃嬪ひめをつかさどるわう侍從じじうシヤシガスのぞくわうこれをよろこびてをさしてすにあらざればかさねてわうにいたることなし 15 ここにモルデカイの叔父󠄃をぢアビハイルのむすめすなはちモルデカイがとりておのれのむすめとなしたるエステルいりわうにいたるべき順番じゆんばんにあたりけるがかれ婦󠄃人をんなをつかさどるわう侍從じじうヘガイがいひきかせたることほかにはなにをももとめざりき エステルはすべかれものによろこばれたり

16 かくエステルはわういへめしいれられてアハシユエロスわうにいたれりこれその治世ぢせいだいねん月󠄃ぐわつすなはちテベテの月󠄃つきなり 17 わう一切すべて婦󠄃人をんなこえてエステルをあいしければエステルはすべての處女をとめにまさりてわう前󠄃まへ恩寵めぐみ厚情󠄃なさけたり わうつひにきさき冕󠄅かんむりをかれのかうべいただかせかれをしてワシテにかはりてきさきとならしむ 18 ここにおいてわうおほいなる酒宴しゆえんまうけてそのもろもろの牧伯つかさ臣僕しもべもてなす これをエステルの酒宴しゆえん稱󠄄となふまたしよしう租税そぜいをゆるしわう富有󠄃とみにかなひてものたま

19 再度ふたゝび處女むすめあつめられしときモルデカイはわうもんしをりぬ 20 エステルはモルデカイがかれにいひふくめたるごとくしていまだおのれの宗族やからをもおのれのたみをもあらはさざりき エステルはモルデカイの言語ことばにしたがふことそのかれ養󠄄やしなひそだてられしときことならざりき 21 當時そのころモルデカイわうもんけるときわう侍從じじうにてまもものうちビグタンおよびテレシの二にんうらむることありてアハシユエロスわうしいせんともとめたりしが〘698㌻〙 22 そのことモルデカイにれければモルデカイこれをきさきエステルにげエステルまたモルデカイのをもてこれをわうげたり 23 ここにおいて此事このことをしらべさせしにそのしかることあらはれければかれ二人ふたりにかけられそのことわう前󠄃まへなる日誌につしふみにかきしるさる
 904㌻ 

第3章

1 これらのことのちアハシユエロスわうアガグびとハンメダタのハマンをたふとびこれをたかくしておのれとともにある一切すべて牧伯つかさうへにそのせきさだめしむ 2 わうもんにあるしゆしよしんみなひざまづきてハマンをはいせり これわうかくかれになすことをめいじたればなり しかれどもモルデカイはひざまづかず又󠄂またこれをはいせざりき 3 ここをもてわうもんにあるわう諸臣しよしんモデカイにむかひてなんぢいかなればわうめいそむくやと 4 かれらモルデカイに日々ひびかくふといへどもきかざりければそのことなしをふさるべきかいなんとてハマンにこれをつげたり はモルデカイおのれのユダヤびとなることをかたりたればなり 5 ハマン、モルデカイのひざまづかずまたおのれはいせざるをたれば ハマン忿怒いかりにたへざりしが 6 ただモルデカイ一人ひとりころすはことちひさしとおもへりかれらモルデカイのぞくするたみをハマンにあらはしければハマンはアハシユエロスのくにうちにある一切すべてのユダヤびとすなはちモルデカイのぞくするたみをことごとくころさんとはかれり

7 アハシユエロスわうの十二ねん正月󠄃しやうぐわつすなはちニサンの月󠄃つきにハマンの前󠄃まへにて十二月󠄃ぐわつすなはちアダルの月󠄃つきまで一日ひとひ一日ひとひのため一月󠄃ひとつき一月󠄃ひとつきのためにプルをなげしむプルはすなはくじなり 8 ハマンかくてアハシユエロスわういひけるはくにかくしうにある諸民しよみんなかちらされてわかわかれになりをるひとつたみありその律法おきて一切すべてたみことなり またわう法律おきてまもらずこのゆゑにこれをゆるしおくはわうえきにあらず 9 わうもしこれをよしとしたまはばねがはくはかれらをほろぼせとかきくだしたまへ さらばわれわうことをつかさどる者等ものどもぎんまんタラントをはか交󠄄わたしてわう府庫くらいれしめん 10 わうすなはち指環󠄃ゆびわをそのよりとりはづしアガグびとハンメダタのハマンすなはちユダヤびとてきたるもの交󠄄わた 11 しかしてハマンにいひけるはそのぎんはなんぢにあたふ そのたみもまたなんぢにあたふればなんぢよしゆるごとく
 905㌻ 

12 こゝにおいて正月󠄃しやうぐわつの十三にちわう書記しよきくわんめしあつめわうぞくするしうぼくかくしう方伯はうはくおよびもろもろのたみ牧伯つかさにハマンがめいぜんとする所󠄃ところをことごとくかきしるさしむ すなはちもろもろのしうにおくるものはその文󠄃字もじをもちひ もろもろのたみにおくるものはその言語ことばをもちひ おのおのアハシユエロスわうをもてこれをかきわう指環󠄃ゆびわをもてこれにいんしたり〘699㌻〙 13 しかして驛卒はゆまづかひをもてふみわうしよしうにおくり十二月󠄃ぐわつすなはちアダルの月󠄃つきの十三にちにおいて一にちうち一切すべてのユダヤびとわかものおいたるもの小兒こども婦󠄃人をんな差別けぢめなくことごとくほろぼしころたやしかつその所󠄃有󠄃物もちものうばふべしと諭󠄄さとしぬ 14 この詔旨みことのりしよしうつたへてかののために準備そなへをなさしめんとてそのかけもの寫本うつし一切すべてたみひらきてしめせり 15 驛卒はゆまづかひわうめいによりて急󠄃いそぎていでゆきぬ この詔書みことのりはシユシヤンの城󠄃しろおいいだされたり かくてわうとハマンはしてさけのみゐたりしがシユシヤンのまちまどひわづらへり

第4章

1 モルデカイすべてこのなされたることしりしかばモルデカイ衣服󠄃ころも麻󠄃布あさぬの纒󠄂まと灰󠄃はひをかぶりまちなかゆきおほいいたさけ 2 わうもん前󠄃まへまでもかくしてきたれり 麻󠄃布あさぬのをまとふてはわうもんうちることあたはざればなり 3 すべてわうめいとその詔書みことのりいたれるしよしうにてはユダヤびとうちにおほいなるかなしみあり斷食󠄃だんじき哭泣なげき號呼さけびおこれり また麻󠄃布あさぬのをまとふて灰󠄃はひうへするものおほかりき

4 こゝにエステルの侍女こしもとおよびその侍從じじうきたりてこれをつげければきさきはなはだしくうれ衣服󠄃きものをおくりこれをモルデカイにきせてその麻󠄃布あさぬのぬがしめんとしたりしがうけざりき 5 こゝをもてエステルはわう侍從じじう一人ひとりすなはちわうめいじておのれはべらしむるハタクといふものしモルデカイのもと往󠄃きてその何事なにごとなるか何故なにゆゑなるかをきたれとめいぜり 6 ハタクいでてわうもん前󠄃まへなるまちひろにをるモルデカイにいたりしに 7 モルデカイおのれの遇󠄃あひたるところを具󠄄つぶさにこれにかたりかつハマンがユダヤびとほろぼすことのためにわう府庫くらはかりいれんとやくしたるぎんたか
 906㌻ 
8 またその彼等かれらをほろぼさしむるためにシユシヤンにおいてかきあたへられし詔書みことのり寫本うつしかれにわたしこれをエステルにせかつときあかし またかれわうもとにゆきてそのたみのためにこれに矜恤あはれみ請󠄃ひその前󠄃まへねがふことをべしといひつたへよといへ

9 ハタクかへりきたりてモルデカイの言詞ことばをエステルにつげければ 10 エステル、ハタクにめいじモルデカイにことばをつたへしむいは 11 わうしよしんがよびわうしよしうたみみなをとこにもあれをんなにもあれすべめされずしてうち庭󠄄にはいりわうにいたるものかならころさるべきひとつ法律おきてあり されどわうこれに金圭きんけいのぶればいくるをべし かくてわれこの三十にちわうにいたるべきめしをかうむらざるなり〘700㌻〙 12 エステルのことばをモルデカイにげけるに

13 モルデカイめいじてエステルにこたへしめていはなんぢわういへにあれば一切すべてのユダヤびとごとくならずしてまぬかるべしとこゝろおもふなかれ 14 なんぢもしこのときにあたりてもくしていはずばほかところよりして助援󠄃たすけ拯救すくひユダヤびとおこらんされどなんぢどなんぢの父󠄃ちゝいへほろぶべし なんぢきさきくらゐたるはかくのごときときのためなりしやもるべからず 15 エステルまたモルデカイにこたへしめていは 16 なんぢ往󠄃きシユシヤンにをるユダヤびとをことごとくあつめてわがために斷食󠄃だんじきせよ 三日みつかあひだよるひるとも食󠄃くらふこともむこともするなかれ われとわが侍女こしもともおなじく斷食󠄃だんじきせん しかしてわれ法律おきてにそむくことなれどもわうにいたらん われもししぬべくばしぬべし 17 ここにおいてモルデカイ往󠄃ゆきてエステルがすべておのれにめいじたるごとくおこなへり

第5章

1 第三日みつかめにエステルきさき服󠄃ころもわういへうち庭󠄄にはにいりわういへにむかひてわうわうきうぎよくしてわうきう戶口とぐちにむかひをりしが
 907㌻ 
2 わうきさきエステルが庭󠄄にはにたちをるをてこれにめぐみをくはへそのにある金圭きんけいをエステルのかたのばしければエステルすすみよりてそのけいかしらにさはれり 3 わうかれにいひけるはきさきエステルなんぢなにをもとむるやなんぢの願意ねがひなになるやくに半󠄃分󠄃なかばにいたるともなんぢにあたふべし 4 エステルいひけるはわうもしよしとしたまはばねがはくは今日こんにちわがわうのためにまうけたる酒宴しゆえんわうとハマンとのぞみたまへ

5 ここにおいわうハマンを急󠄃いそがしめてエステルのいへるごとくならしめよとめいわうとハマンやがてエステルがまうけたる酒宴しゆえんのぞめり 6 酒宴しゆえんときわうまたエステルにいひけるはなんぢ所󠄃求もとめなになるやかならずゆるさるべし なんぢの願意ねがひなになるやくに半󠄃分󠄃なかばにいたるとも成󠄃就なしとげらるべし 7 エステルいひけるは所󠄃求もとめわが願意ねがひこれなり 8 われもしわう前󠄃まへめぐみ わうもしわが所󠄃求もとめをゆるしわが願意ねがひ成󠄃就なしとげしむることをよしとしたまはばねがはくはわうとハマンまたわがまうけんとする酒宴しゆえんのぞみたまへ われ明日あすわうのたまへることばにしたがはん

9 かくてハマンはそのよろこびこゝろたのしみていできたりけるがハマン、モルデカイがわうもんをりおのれにむかひて起󠄃たちもあがらず身動みうごきもせざるをしかば いたくモルデカイをいかれり〘701㌻〙 10 されどもハマンたへ忍󠄄しのびていへにかへりその朋友ともおよびつまゼレシをまねききたらしめ 11 しかしてハマンそのとみ榮耀󠄃かがやきとその衆多おほきこととすべわうおのれたふとびしことまたおのれをたかくしてわう牧伯つかさおよび臣僕しもべうへにあらしむることをこれかたれり 12 しかしてハマンまたいひけらくきさきエステル酒宴しゆえんまうけたりしがわれのほかは何人なにびとをもわうとともにこれのぞましめず明日あすもまたわれわうとともにきさきまねかれをるなり 13 れどユダヤびとモルデカイがわうもんしをるをあひだこれらのこと快樂たのしからず 14 ときにそのつまゼレシとその一切すべて朋友ともかれにいひけるは請󠄃たかさ五十キユビトのたてしめ明日あす朝󠄃あさモルデカイをそのうへかけんことをわうまうしかしてわうとともにたのしみてその酒宴しゆえんにおもむけとハマンこのことよしとしてそのたてしめたり
 908㌻ 

第6章

1 そのよるわうねむることあたはざりければめいじて日々ひびことしるせる記錄きろくふみもちきたらしめわう前󠄃まへにこれをよましめけるに 2 モルデカイかつわう侍從じじう二人ふたりまもものなるビグタンとテレシがアハシユエロスわうころさんとはかれるをつげたりとしるせるに遇󠄃 3 わうすなはちいひけるはこれがためになに榮譽ほまれ爵󠄄位くらゐをモルデカイにあたへしや わうつかふる臣僕しもべこたへてなにをもかれにあたへしことしといへり 4 ここにおいてわうたれ庭󠄄にはにあるやとふ このときハマンはおのがモルデカイのためにまうけたるにモルデカイをかけることをわうそうせんとしてすでわういへそと庭󠄄にはきたりて 5 わう臣僕しもべわうにつげてハマン庭󠄄にはたちをるといひければわうかれをしていりきたらしめよと 6 ハマンやがていりきたりしにわうかれにいひけるはわう尊󠄅たふとばんとほつするひとには如何いかになさばよからんかとハマンこゝろにおもひけるはわう尊󠄅たふとばんとずるものわれにあらずしてたれぞやと 7 ハマンすなはちわうにいひけるはわう尊󠄅たふとばんとほつするひとのためには 8 わうたまへる衣服󠄃ころもたづさへきたらしめかつわうのりたまへるむますなはちそのかしらわう冠冕󠄅かんむりいただけるむまをひききたらしめ 9 これをわうもつとたふとき一人ひとり牧伯つかさにわたしわう尊󠄅たふとばんとするひとその衣服󠄃ころもせしめこれをむまにのせてまち街衢ちまたをみちびき通󠄃とほわう尊󠄅たふとばんとほつするひとにはかくのごとくなすべしとよばはらしむべし

10 わうハマンにいひけるは急󠄃いそぎなんぢがいひしごとくその衣服󠄃ころもむまとをわうもんするユダヤびとモルデカイにかくなせよ なんぢがいひしところをひとつかくことなからしめよ〘702㌻〙 11 ここにおいてハマン衣服󠄃ころもむまとをりモルデカイにその衣服󠄃ころもかれをしてまち街衢ちまたのりとほらしめその前󠄃まへよばはりてわう尊󠄅たふとばんとほつするひとにはかくのごとくなすべしと
 909㌻ 
12 かくてモルデカイはわうもんにかへりたりしがハマンはうれへなやみかうべをおほふておのれのいへにはしりゆき 13 しかしてハマンおのが遇󠄃あへことをことごとくそのつまゼレシとその朋友ともげるにその智者ちしやたちおよびそのつまゼレシかれにいひけるは のモルデカイすなはちなんぢがその前󠄃まへやぶれはじめたるものもしユダヤびとならばなんぢこれに勝󠄃かつことをかならずその前󠄃まへにやぶれんと 14 かれらなほハマンとものいひをるうちわう侍從じじうきたりてハマンをうながしエステルがまうけたる酒宴しゆえんにのぞましむ

第7章

1 わうまたハマンとともにきさきエステルと酒宴しゆえんせんとてきたれり 2 このだい二の酒宴しゆえんわうまたエステルにいひけるはきさきエステルよなんぢのもとめはなになるや かならずゆるさるべし なんぢのねがひはなになるやくに半󠄃分󠄃なかばにいたるとも成󠄃就なしとげらるべし 3 きさきエステルこたへていひけるはわうわれもしわうおん前󠄃まへめぐみわうもしよしたまはばわがもとめにしたがりこわが生命いのちをわれにたまへ またわがねがひにしたがひてわがたみわれたま 4 われとわがたみうられてほろぼされころされたやされんとす われらもし奴婢ぬひうられたるならんにはわれもくしてはべらん 敵人あたびとわう損害󠄅そんがいつぐなふことあたはざるなり 5 アハシユエロスわうきさきエステルにこたへていひけるはこれをなさんとこゝろにたくめるものたれまた何處いづくにをるや 6 エステルいひけるはそのてきその仇人あたびとすなはちこのあしきハマンなりと これによりてハマンはわうきさき前󠄃まへにありておそれたり 7 わういか酒宴しゆえんせきをたちて宮殿みやその往󠄃きければハマンたちあがりてきさきエステルに生命いのちこへはかれわうのおのれに禍災わざはひをなさんときはめしをたればなり 8 わう宮殿みやそのよりかへりて酒宴しゆえんにいたりしにエステルのをる牀榻とこうへにハマン俯伏ひれふしゐたればわういひけるはかれはまたいへうちにてわが前󠄃まへきさきはづかしめんとするかとこのことばわうくちよりいづるや人々ひと〴〵ハマンのかほをおほへり 9 ときわう前󠄃まへにある一人ひとり侍從じじうハルボナいひけるはわうためこといひたりしかのモルデカイをかけんとてハマンがつくりたる五十キユビトのハマンのいへたちをるなりとわういひけるはかれをそのうへかけ
 910㌻ 
10 人々ひと〴〵ハマンをそのモルデカイをかけんとてまうけしうへかけたり わう震怒いかりつひに〘703㌻〙

第8章

1 そのアハシユエロスわうユダヤびとてきハマンのいへきさきエステルにたまふ モダカイもまたわう前󠄃まへきたれり はエステルかれおのれいかなるかかはりなるかをつげたればなり 2 わうハマンよりとりかへせしおのれゆび環󠄃をはづしてモルデカイにあたしかしてエステル、モルデカイをしてハマンのいへをつかさどらしむ

3 エステルふたゝびわう前󠄃まへそうしてその足下あしもとにひれふしアガグびとハマンがユダヤびと害󠄅がいせんとはかりしその謀計はかりごとのぞかんことをなみだながらにこひもとめたり 4 わうエステルにむかひて金圭きんけいのべければエステル起󠄃おきわう前󠄃まへ 5 いひけるはわうもしこれよしとしたまひわれもしわう前󠄃まへめぐみこのこともしわうたゞしわれもしおんにかなひたらば アガグびとハンメダタのハマンがわう諸州しよしうにあるユダヤびとをほろぼさんとはかりてかきおくりたるふみをとりけすべきむねかきくだしたまへ 6 われあにわがたみのぞまんとする禍害󠄅わざはひるに忍󠄄しのびんや あにわが宗族やからのほろぶるをるにしのびんや 7 アハシユエロスわうきさきエステルとユダヤびとモルデカイにいひけるはハマン、ユダヤびところさんとしたればわれすでにハマンのいへをエステルにあたへまたハマンをにかけたり 8 なんぢらもまたおのれのこのむごとくわうをもてふみをつくりわうゆび環󠄃をもてこれにいんしてユダヤびとにつたへよわうをもてわうゆび環󠄃をもていんしたるふみたれもとりけすことあたはざればなり

9 ここをもてそのときまたわう書記しよきくわんめしあつむこれ月󠄃ぐわつすなはちシワンの月󠄃つきの二十三にちなりきしかして印度いんどよりエテオピアまでのひやく二十七しうのユダヤびとしうぼく諸州しよしう方伯はうはく牧伯等つかさたちにモルデカイがめいぜんとするところをこと〴〵かきしるさしむ すなはちもろもろのしうにおくるものはその文󠄃字もじをもちひもろ〳〵たみにおくるものはその言語ことばをもちひてかきおくりユダヤびとにおくるものはその文󠄃字もじ言語ことばをもちふ
 911㌻ 
10 かれアハシユエロスわうをもてこれをかきわうゆび環󠄃をもてこれにいん驛卒はゆまづかひをして廐󠄇むまやにてそだてたるはやあしようむまにのりてそのふみをおくりつたへしむ 11 そのうちわうすべてのまちにあるユダヤびとゆるかれらあひあつまりたちておのれの生命いのち保護ほごしおのれを襲󠄂おそ諸國しよこく諸州しよしう一切すべてへいみんをそのつまもろともにほろぼしころたやかつその所󠄃有󠄃物もちものうばふべし 12 アハシユエロスわう諸州しよしうにおいて十二月󠄃ぐわつすなはちアダルの月󠄃つきの十三にちにちうちかくのごとくするをゆるさる 13 この詔旨みことのり諸州しよしうにつたへんがためまたユダヤびとをしてかののために準備そなへしてそのてきあだをかへさしめんがためにそのかけもの寫本うつし一切すべてたみひらきてしめせり〘704㌻〙 14 驛卒はゆまづかひはやあしようむまにのりわうめいによりて急󠄃いそがせられせきたてられていでゆけりこの詔書みことのりはシユシヤンの城󠄃しろにおいていだされたり

15 かくてモルデカイはあゐしろ朝󠄃服󠄃てうふくおほいなるきんかんむりいただ紫色むらさき細布ほそぬの外衣うはぎをまとひてわう前󠄃まへよりいできたれり シユシヤンのまちぢうこゑをあげてよろこびぬ 16 ユダヤびとには光輝ひかりあり喜悅よろこびあり快樂たのしみあり尊󠄅榮ほまれありき 17 いづれのしうにてもいづれまちにてもすべわう命令おふせ詔書みことのりのいたるところにてはユダヤびとよろこぴたのしみ酒宴しゆえんをひらきてこのよきとなせりしかしてくにたみおほくユダヤびととなれりはユダヤびとおそるるこゝろおこりたればなり

第9章

1 十二月󠄃ぐわつすなはちアダルの月󠄃つきの十三にちわう命令おふせ詔書みことのりのおこなはるべきときいよいよ近󠄃ちかづけるときすなはちユダヤびとてきユダヤびとうちふせんとまちかまへたりしにかへつてユダヤびとおのれをにくものうちふすることとなりけるその
 912㌻ 
2 ユダヤびとアハシユエロスわうかくしうにあるおのれ邑々まち〳〵あひあつまりおのれを害󠄅がいせんとするものどもをころさんとせりたれかれらにあたることをものなかりき 一切すべてたみユダヤびとおそれたればなり 3 諸州しよしう牧伯つかさ州牧しうぼく方伯はうはくなどすべわうこととりおこなものみなユダヤびとをたすけたり これモルデカイをおそるるによりてたり 4 モルデカイはわういへにておほいなるものとなりそのかくしうにきこえわたれりかくそのひとモルデカイはますますおほいになりゆきぬ 5 ユダヤびとすなはち刀刃󠄃やいばをもてその一切すべててきうちころほろぼしおのれをにくものこゝろのままにしたり 6 ユダヤびとまたシユシヤンの城󠄃しろにおいても五ひやくにんころしほろぼせり 7 パルシヤンダタ、ダルポン、アスパタ 8 ポラタ、アダリヤ、アリダタ 9 パルマシタ、アリサイ、アリダイ、ワエザタ 10 これらのものすなはちハンメダタのユダヤびとてきたるハマンの十にんをもかれころせりされどその所󠄃有󠄃物もちものにはをかけざりき

11 シユシヤンの城󠄃しろうちにてころされしもの數󠄄かずをそのわうにまうしあげければ 12 わうきさきエステルにいひけるはユダヤびとシユシヤンの城󠄃しろうちにて五ひやくにんころしまたハマンの十にんをころせりわうのそのほか諸州しよしうにおいては幾何いくばくなりしぞや なんぢまたなにもとむるところあるやかならずゆるさるべしなほなにかねがふところあるやかならず成󠄃就なしとげらるべし 13 エステルいひけるはわうもしこれよしとしたまはばねがはくはシユシヤンにあるユダヤびとゆるして明日あす今日けふ詔旨みことのりのごとくなさしめかつハマンの十にんかけしめたまへ〘705㌻〙 14 わうかくせとめいじシユシヤンにおいて詔旨みことのりいだせりマンの十にんかけらる 15 アダルの月󠄃つきの十四にシユシヤンのユダヤびとまたあつまりシユシヤンのうちにて三びやくにんをころせりしかれどもその所󠄃有󠄃物もちものにはをかけざりき 16 わう諸州しよしうにあるそのほかのユダヤびともまたあひあつまりたちておのれの生命いのち保護ほごしそのてき勝󠄃かちやすんじおのれをにくものまんせんにんをころせりしかれどもその所󠄃有󠄃もちものにはをかけざりき
 913㌻ 

17 アダルの月󠄃つきの十三にちにこのことをおこなひ十四にやすみてその酒宴しゆえんをなしてよろこべり 18 されどシユシヤンにをるユダヤびとはその十三にちと十四とにあひあつまり十五にちにやすみてその酒宴しゆえんをなしてよろこべり 19 これによりて村々むら〳〵のユダヤびとすなはち石垣いしがきなき邑々まち〳〵にすめるものはアダルの月󠄃つきの十四をもて喜樂よろこび酒宴しゆえん吉日よきひとなしてたがひものをやりとりす

20 モルデカイこれらのことかきしるしてアハシユエロスわう諸州しよしうにをるユダヤびと遠󠄄とほきにも近󠄃ちかきにもふみをおくり 21 アダルの月󠄃つきの十四と十五にち年々とし〴〵にいはふことをめい 22 このふたつにユダヤびとそのてき勝󠄃かちやすみこの月󠄃つきかれのために憂愁うれへより喜樂よろこびにかはり悲哀かなしみより吉日よきひにかはりたればこれらの酒宴しゆえんをなしてよろこびたがひにものをやりとりし貧󠄃まづしきもの施與ほどこしをなすべしと諭󠄄さとしぬ 23 ここをもてユダヤびとはそのすでにはじめたるごとくモルデカイがかれらにかきおくりしごとくおこなひつづけたり 24 アガグびとハンメダタのハマンすなはちすべてのユダヤびとてきたるものユダヤびとほろぼさんとはかりプルすなはちくじなげてこれをほろぼしたやさんとしたりしが 25 そのことわう前󠄃まへあきらかになりしときわうふみをおくりてめいじハマンがユダヤびと害󠄅がいせんとはかりしそのあし謀計はかりごとをしてハマンのかうべにかへらしめかれとその子等こらかけしめたり

26 このゆゑにこのふたつをそのプルのにしたがひてプリムとなづけたりかゝりしかばこのふみのすべてのことばによりこのことにつきてたるところおのれ遇󠄃あひたるところにより 27 ユダヤびとあひさだ年々とし〴〵そのかけるところにしたがひそのさだめたるときにしたがひてこのふたつをまもりおのれとおのれの子孫しそんおよびすべすでにつらなるものこれをおこなひつづけてはいすること
 914㌻ 
28 このふたつをもて代々よゝ家々いへ〳〵州々くに〴〵邑々まち〳〵においてかなら記念おぼえてまもるべきものとなしこれらのプリムのをしてユダヤびとうちはいせらるることなからしめまたこの記念きねんをしてその子孫しそんなかたゆることなからしむ〘706㌻〙

29 かくてアビハイルのむすめなるきさきエステルとユダヤびとモルデカイおほいなるちからをもてこのプリムのだい二のふみかきおくりてこれをかたうす 30 すなはちモルデカイ、アハシユエロスのくにひやく二十七しうにある一切すべてのユダヤびとと平󠄃和へいわ眞󠄃實しんじつ言語ことばをもてふみをおくり 31 斷食󠄃だんじき悲哀かなしみのことにつきてプリムのこれらのかたうしてそのさだめたるときまもらしむすなはちユダヤびとモルデカイときさきエステルがかつてかれらにめいじたるごとくまたユダヤびとかつてみづからおのれのためおよびおのれの子孫しそんのためにさだめたるがごとし 32 エステルのことばプリムにかかはる是等これらことをかたうせりこれふみにしるされたり

第10章

1 アハシユエロスわう國土くにおよびうみ島々しま〴〵みつぎをたてまつらしむ 2 アハシユエロスわう權勢いきほひ能力ちからをもてなしたる一切すべて事業わざおよびかれがモルデカイをたかくしておほいいなるものとならしめたることくわしはなしはメデアとペルシヤの列王れつわう日誌につしふみしるさるるにあらずや 3 ユダヤびとモルデカイはアハシユエロスわう次󠄄ものとなりユダヤびとなかにありておほいなるものにしてその衆多おほく兄弟きやうだいによろこばれたりかれはそのたみ福祉さいはひをもとめその一切すべて宗族やから平󠄃和へいわことばをのべたりき〘707㌻〙
 915㌻